最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます
ずっと絢斗の声が聞こえてて、それがとても力になった。


いよいよ分娩室に入って、すぐに出産準備。


先生と看護師さんが、優しく冷静に声を掛けてくれた。


「大丈夫ですからね」


「はい、今、ヒーヒーフー」


「はい、いきんで!」


全て言われるまま、その通りにした。


立ち会い分娩で、絢斗がいて、正直、すごく恥ずかしい。


きっと、必死の形相に絢斗も驚いてるだろう。


でも、今は、それどころじゃなかった。


とにかく、何度かいきんで頭が出たようで、そこからはあっという間だった。


スルッと身体全部が出て、ようやく私は痛みから解放された。


「おめでとうございます。元気な男の子ですよ! よく頑張りましたね」


その言葉を聞いて、私は人目もはばからず号泣した。


絢斗が、私の手をギュッと強く握ってくれてる。


「よく……頑張った。ありがとう、本当に……ありがとう」


絢斗も、少し泣いてた。


初めて見たよ、絢斗の涙。


2人とも、ホッとしたんだと思う。
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