バイオレット・ダークルーラー
「っ!!!」
「…おん?ふはっ、図星か!つまんねぇ女に成り下がったもんだぜ!」
冷たい声色を落としたと思ったら、再度豪快に笑った久米ちゃん。
…目の奥が笑っていない。本気でわたしを蔑んだ目をしているのだと分かる。
――…彼の言う通りだ。
わたしは嘘を吐いてまで自信が欲しかった。そしたら決心がつく気がした。
二度と来るなと言われてもなお、紫月さんに会いに行く決心が。
「………久米ちゃん、ごめん」
「おん。そこで泣かねぇ、それでこそ俺の知ってるおみずだ」
「…。泣かないよ、だって図星だもん」
「ふはっ!そうだなァ。…麗蘭街に馴染みたきゃ、自分で自分の立場考えていかねぇといけねぇな」
「…そうだよね。うん、その通りだ」
…他人から無理やり押してもらった背中に、着地点は無い。
自分の意思で決めて、自分の意思で動く。麗蘭街で生きるってそういうことだと、数日前に嫌というほど味わった。
――…迷っている。
会いたい。会うべきじゃない。会いに行ってはいけない。
…ぐるぐる回る気持ちに疲れて、久米ちゃんに行けと言ってもらおうとした。
生半可な気持ちで行ってはいけない街だからこそ、彼は見抜いていたんだ。