バイオレット・ダークルーラー
「よろしくお願いします…!」
正直に言おう。わたしはめちゃくちゃ緊張している。
去年、1年生の時の出席番号順では
わたしと御堂くんのあいだに1人いたから、こうして組むことはなかった。
…だってあの学年トップの完璧な御堂くんだもの。変なミス出来ないし、彼に迷惑をかけるわけにもいかない。
英語はわりと好きだけど、出来るかと言われたら話は別で…。
「敬語じゃなくていいよ」
「っ、」
「水城さん、去年も同じクラスだったじゃん」
――…なんて口には出さずとも、頭の中をフル回転させていると
落ち着いたままに微笑む御堂くんが少し首を傾けてそう言う。
「そ、そう…だね。ありがとう」
纏っているのは、とてつもなく上品なオーラ。
今日も今日とて彼の耳に輝くすみれ色のピアスが、存在感に華を添えている気がした。