バイオレット・ダークルーラー



「…ん、」



降り注ぐキスとリップ音に

恥ずかしくて身をよじろうとすると、紫月さんがいとも簡単にわたしの手を掴む。



「だーめ」



ベッドサイドのライトだけが、わたしたちを照らした。

見下ろす限り広がる灯火の粒の街並みは、彼がスイッチを押してブラインドが下りる。


満月も知らない。夜空も、星だって、知らない。

わたしと紫月さんだけが互いを知り、互いを求めていた。



「…きれい」

「朱里の方が綺麗だよ」



無駄のない肉体。人工性のない金髪。

一糸まとわぬ身体になった時、ふとこぼれ落ちた言葉を、彼は微笑んですくいとった。


すみれ色の瞳の奥に孕んだ熱を見抜いたら

どうしようもなく全身が疼いて、紫月さんの身体に手をまわした。



「…ひぁ…っ!」



わたしの声とは思えない、甘さと女性らしさを含んだ声。

それを聞いた彼の眼光は、徐々に情炎を増していった。

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