バイオレット・ダークルーラー
紫月さんが身に付けさせてくれたネックレスに触れる。
…彼と最後に会った日には確かに感じていたぬくもり。今はリングがつめたくて、不安を掻き消すように何度も触れていた。
「朱里」
「…莉菜」
「なんかあったっぽいよねぇ。御堂紫苑なんて、最後に見たの2週間前?もっと前だったかなぁ?」
「……うん」
いろんな憶測が飛び交う、不気味な空気の教室内。
わたしの席が窓側なのをいいことに、寄りかかってわたしに話しかける莉菜はしみじみと実感しているような声色だった。
「それに、麗蘭街も行けなくなっちゃったし。もう意味わかんないよぉ」
「…ねぇ莉菜」
「なあに?」
「花村りりかさんって、莉菜のお友達だよね」
――…花村さん。彼女だけはいつも通り学校に来ている。
わたしが紫月さんのリングをネックレスとして身に着けていることに、彼女は不快感をあらわにしていた。
だからこそ彼らがいまどうなっているのか、彼女なら知っているのかもしれない。その気持ちが拭えなかった。
「…うーん、昔からあの子怖いんだよねぇ」