バイオレット・ダークルーラー
(…あぁ、もう…)
…偽りの自分と本当の自分の中で、孤独に葛藤し続けた彼は
わたしのすみれ色に対する想いを知って、好きが積もったと話してくれた。
自分の立場上、大切な人はつくりたくない。危険な目に遭わせてしまうから。という想いと
どんどん麗蘭街に近付くわたしを守りたい、ほかの人に渡したくないという想いが交錯していたと。
――…迷い、もがき、足掻いた彼は
“紫月”を名乗りながら“御堂紫苑の殻をかぶる”という、葛藤の果てに辿り着いて
「他の人じゃなくて朱里からの愛が欲しい。…ありのまま朱里を愛して、愛されたいって、あの性格でいるほど思うようになった」
「…うん…っ」
「…俺はずっと朱里に溺れているんだ。…好きなんだ…っ」
今までずっと、わたしを愛するという選択のため、苦しんできたのだ――…。