バイオレット・ダークルーラー
『あ…、そっか。朱里ちゃん彼氏さんいたんだね』
「…それでは、」
『っ待って!朱里ちゃん昨日の夜、家事ほとんどやってくれたんだよね。私寝ちゃってたから…。ありがとう』
「…、」
『育児で余裕なくて朱里ちゃんにも当たってしまって、ごめんなさい。…私、もっと頑張るから』
「っ、」
『頑張るから…。たまに一緒に、家族みんなでご飯食べたいなぁ…!』
――…ずっとずっと
わたしだけが嫌われていて、のけ者なのだと、そう思っていた
「…絵美香さん、」
『菫さんにはなれないけど、私…朱里ちゃんと親子の形を一緒にさがしていきたい…。
――…これからは、家族で笑顔で過ごしていきたいよ…っ!』
絵美香さんは電話口で泣いていた。
……向き合おうとしないわたしを引き止めて、きちんと想いを言葉にして。
(……あぁ、)
――…わたし、なんて独りよがりだったんだろう。