こんな溺愛、きいてない!
「ぎゃああああああっ!」


グーを握って振り回した。


「……悪かったよ」


「うっく……」


「軽い冗談だろ。泣くなよ」


「ううっ……
遥ちゃんのこと、
ホントに大好きだったのに」


遥ちゃんとの大切な思い出も、
こうなってくると、

めちゃくちゃだ。


全部、遙先輩のせいだっ。


「な、凛花、どうしたら、
許してくれる?」


じっと、
涙目で遥先輩を睨みつける。


「じゃ、スカートはいて、
昔のはるかちゃんに戻って」


「わかった、
着替えてくるから
ちょっと待ってろよ。

……なんていうと思うか?

調子にのるなよ、おい」


ぎゅっと、
両手で頬っぺたをつかまれて、
涙がじわりと浮かぶ。

ううっ、


家でも休まらない、この業の深さ。
私がいったいなにをしたのでしょうか?


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