こんな溺愛、きいてない!
「凛花にだけ、な」


と、言って私の肩を抱き、
私の頬にキスを落とした遥先輩に、
凍りついて息を止める。
 

な、な、なぜ、
こんな危ない人の前で
こんなことを?


おそるおそる
遥先輩を見上げると、

涼やかに笑いながらも
遥先輩の瞳には
怒りの炎が燃え盛っている。


こ、こ、怖いってば!


すると、大蛇(おろち)?先輩は
シャーっと
牙をむき出して、悲鳴を上げた。


「な、なにそれっ!
ちょっと、……っていうか、
かなりカッコいいからって、
調子にのらないでよねっ!

そんな、ぶっさいくなコに飽きたら、
いつでも私が
相手にしてあげるんだからっ。

私にだったら、
なにしてもいいんだから!
遥くん、覚えておいてよねっ

ブスはくたばれ!」


けたたましく叫んで、
最後に私を指差して罵倒すると

大蛇(おろち)先輩は、
バタバタと激しい音を立てて
去っていった。


今年いちばんの恐怖体験……


何回、
ブサイクって言われたんだろうか。



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