Brillante amore! ~愛と涙のアオハルstory~


「……つかれた。」

帰宅して自室に入っての第一声がこれだ。



現在の時刻、17:50。

スプリングコンサートは何とか成功し、片付けを終えて家に帰ってきた。

明日は完全に部活がoffである。

(といっても、問題山積みなんだよなぁ)

スプリングコンサートは終わった。

けれど、月末に公民館の改修記念イベントがあり、私たち吹奏楽部はそこでの演奏を依頼されている。

それに、先日りんから聞いた喧嘩がまだ縺れているらしい。

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今日の帰り道。

スプリングの反省点を2人で話したあと、突如りんはこう言った。

「そうだ、けいにあの喧嘩のこと言った」

「…そう。なんて?」

「美玲がモテてるのは知ってたけど、僕がそこまでモテるとは思わないって」

あ、そっち?

「いや、けいは自慢の彼氏よ。」

本当に。

「それは本人に言え。」

ごめんなさいね。

「で、昨日結愛ちゃんと香織ちゃんにカマかけてみたんだけど、」

やっぱりカマかけたんだ。

「あんま成功しなかった」

え。

「具体的には?」

「カマかけたのは引っ掛かったよ。
でも、けい先輩と美玲先輩は絶対怪しい!って。みんなが傷つくって」

それもう意気投合してんじゃん。

りんは話を続ける。

「まぁ2人のことは知らないし介入する権利もないからとは言ったわよ。」

どうもありがとう。

「でも手強いわね。『けい先輩や美玲先輩のことを好きな人のためには知るべき』って」

「知らねー」

「ほんとにね」

…まてよ。

「というかさ」

私はりんに言ってみた。

「なんだい」

「なんでアタックも告白もしてこないのにそんな人の事気にかけなきゃいけないのよ。
しかも彼氏いるのに」

そういうと、りんは突然笑いだした。

「なによ」

「いや美玲今日ブラックだなって思って」

あらそう?

「それにやっぱモテる女は違うね、普通そんなこと言えないよ」

…それってほめてる?

「だって事実じゃない」

そういうとりんは苦笑した。

「そうね」

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これはどうするのが正解なのか。

明日けいに相談するか。

LINEじゃなくて顔みたいし。


一旦の結論が出たところで、「ピロン♪」とLINEの着信音がなった。

「先輩!」

「みんなで今年の課題曲について話してたんですけど、どうなるんですか?」

…私の悩みの種を堂々と。

メッセージの送信主は、トランペットパートの後輩である板見朱里(いたみあかり)だ。

こんなことパートの先輩に聞けといいたくなったが、第1トランペットの3年はLINEをやってない。(けいはやってるけど、嫌だと言って私以外はけいのアカウントを持ってない)それにトランペットの3年は2人とも男だし、私は学指揮だ。

まぁ当然だな。

「それは先生方の意向もあるしちゃんと音出しもしていないから私らも分からない」

「お役に立てずごめんね」

とりあえずみんなに送っているこの文面を送信した。

実は、こういった質問はちょくちょく来ている。

そもそも吹奏楽コンクールは人数によってAとBに部門がわかれている。
私たちの参加するA部門では、毎年発表されるいくつかの中の課題曲と、自由曲の2曲を12分以内に演奏するという決まりがある。

自由曲は、まだ設楽先生での合奏をやってないので何とも言えないが、実質決まっている。『ミュンヘン’s レクイエム』という曲だ。去年2つの学校がこの曲で全国金賞を取ったため、今年はこれが流行るだろう。
でも、これは入部したときからずっと憧れてきた曲だ。幹部のみんなと上川先生に許可をもらい、譜面の配布、音出しはある程度済んでいる。

問題は課題曲だ。
譜面は2月に届き、みんな持ってはいたのだが、新人戦に追われていたので入学式で演奏したマーチしかマトモに音出しをしていない。

1年生の人数確保もあるしなぁ。

そして、来週からは1年生の部活見学・仮入部が始まる。

毎年吹奏楽部はミニ演奏会を開くため、その曲や中身もまた課題のひとつだ。

これについては、今までのレパートリーを組み合わせる、という幹部会での結論に従うことになっている。

(なんか眠…)

考える暇もなく、私は夕飯の時間まで眠りに着いたのであった――
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