Brillante amore! ~愛と涙のアオハルstory~
そして放課後。
荷物を廊下に置いた私とりんは、設楽先生にお昼の事を報告し今日の予定を聞こうと職員室に来ていた。
「「失礼します」」
本当は名前と用件も言わなくてはならないのだが、毎日予定やら鍵やらで職員室に来ているため、先生たちも黙認してくれている。
それに、扉のすぐ近くが上川先生、その目の前が設楽先生の席なのでそこまで言う必要も少ない。
えっと、設楽先生は。
「いないね」
先にりんが言う。
「上川先生、設楽先生見ました?」
目の前にいた上川先生に聞いてみる。
「いやぁ、ちょっと前までいたんだけどねぇ。どっか行ったみたい。」
あらま。
「そうですか。」
「ありがとうございます」
あ、そうだ。
「りん、お昼のこと今上川先生に言お」
「そうね、私先生探しに行くから、美玲説明して終わったら扉で待ってて」
「OK」
なんだという顔をする上川先生に、お昼休み決めた新入生歓迎ミニコンサートとそれに伴うスケジュールについて説明する。
「…って感じなんですけど、どう思いますか?」
「あぁ、俺はいいと思うよ。設楽先生がOK出せばそれでいいんじゃないかな」
流石優しい。
「ありがとうございます。その紙、持っててくださいね」
「印刷した方がいいの?」
あ、みんなに知らせなきゃだわ。
「はい、設楽先生のOKが出たらお願いします」
「わかりました」
「ありがとうございます、では帰りますね」
「はい」
「失礼しました」
何事もなく上川先生への説明を終え、職員室を後にする。
すると。
「あ、早乙女さん」
けいが日誌を持って立っていた。
そっか、今日日直だったのか。
「お疲れさま」
私が声を発すると、けいは苦笑いする。
「ほんとうに」
そんなにこき使われたんだ。
「じゃ、日誌届けてくる」
「はーい」
…ほんとに2人きりとかじゃないとただのクラスメートか仲間なんだよな。
「美玲?」
そんな事を考えていると、声をかけられる。
「あっ、」
完全にりんのこと忘れてた。
「設楽先生いたから予定聞いて説明もして来た。」
「ありがと。先生なんて?」
「先生指揮ふらないって」
嘘だろ。
「え、メドレーものとかどうなるのよ」
「美玲」
私学指揮だわ、そういえば。
「えぇ、パート変えなきゃじゃん」
実は、同じ楽器を吹いていても、同じ音を吹いているという訳では無い。
多くの楽器は、いくつかのパートにわかれて、同じメロディーを違う音で吹いたり、違う動きをしたりする。
楽器ごとの人数が少ない低音などはパート分けがないけど。
因みにトロンボーンは3パートにわかれ、それを4人でまわしている。
「まぁ、しょうがない」
りんに宥められた。
「あとは?」
「司会」
あぁ、それはこれから決めれば。
「OK、じゃあ音楽室戻るか。」
「そうね」
そうして、パート練習と合奏を終えた美玲たちであった――