星降る夜、君ともう一度
少女ーーー安曇朝日(あづみあさひ)は泣き出しそうな声で言う。智月も胸がズキンと痛んだ。しかし、泣きそうになるのをグッと堪えて笑う。

「あっちゃん!早く空の旅に行こうよ!」

「うん!」

智月と朝日はしっかりと手を握り、列車の中へ乗り込む。二人が列車に乗り込んだ刹那、ドアがゆっくりと閉まる。そして列車は空へと向かって走り始めた。

「ちぃちゃんはもう中学生かぁ〜。どんなことしてるの?」

「僕はね、部活は化学部に入部したよ。勉強はけっこう難しいかな」

二人は向かい合って座り、互いのことを話し始める。智月はこの不思議な空間がずっと続いてほしいと願った。この列車も、目の前にいる朝日も、普通の存在ではない。

朝日は、智月の幼なじみだった。しかし、小学五年生の頃に交通事故で死んでいる。智月はずっと悲しみが癒えなかった。

『七夕ってロマンチックだよね!私も織姫みたいな衣装を着てみたいな〜』

朝日が死んで一年が経った七夕の時、ふと幼い頃のことを智月は思い出した。空を見れば美しい天の川が見えている。いても経ってもいられず、智月は外へと飛び出した。
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