女嫌いと男性恐怖症:付き合いの手順

 晶は自分の左半身に重さを感じ、ドキリとした。
 遥が体を寄せて、もたれかかっていた。

「私は、ぞわぞわしましたけれど、その、嫌ではないです」

「え」

 言葉を失うと、遥が慌てふためていた様子で付け加えた。

「でも、もう、恥ずかしいので、今日はこれでおしまいにしてください!」

 今日、は。

「今日じゃ、なければいいのか」

 つい声に出た願望に、遥は耳まで赤くした。
 前みたいに、震えてはいなかった。

「本当、どうしてアキは、手慣れているんですか。女嫌いは嘘なんじゃって、本気で疑います」

「嫌じゃ、ないのか?」

 遥に触れようと、伸ばした晶の手が震えた。

 その手に遥が手を重ねた。
 その手は、微かに震えていた。

「アキは大丈夫っていう、変な間柄じゃないですか」

 思わず重ねられた手をつかんで、引き寄せると遥を抱きしめた。
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