死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。

 俺はあづの頭を雑に撫でた。
「わっ、なんだよ」
 頬をリンゴみたいに赤くしてあづは俺を見る。
「いや? 意外と苦労してんだなと思って……ん?」
 撫でるのをやめ、首を傾げる。あづの頭がごつごつしている。
 ……なんだこれ?
 つむじの横に、青黒い痣のようなものがあった。
 嫌な予感がした俺は、潤にそれを見せる。
「知ってたか? これ」
「……いや、知らない」
「おいあづ」
 あづを見つめて言う。
「なっ、なんだよ」
 眉を下げ、怯えながらあづは口を開く。
「なんで痣があんだよ」
 つむじの横の他に、左耳の近くや生え際にも青黒い痣があった。
 ――突っ込まない方がいい。聞かない方がいい。そう思ったけど、聞かずにいられなかった。
「喧嘩したから。俺喧嘩好きだし。お前が自殺した時もしてただろ」
「嘘つくの下手か。喧嘩の時って普通顔か腹か足狙うだろ。それに、お前喧嘩強かっただろ。それなのに痣になるかよ」
 正直、痣が一個ならその嘘で見逃していたと思う。でも一個ではなかったから、見逃せなかった。
「俺もあづが頭殴られてんの見たことねぇし。絶対嘘だろそれ」
 指摘するように潤は言う。
「それは……」
 ばつが悪そうにあづは顔を伏せる。
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