俺様社長は溺愛本能を隠さない

彼はおそらくワンピースを想像で私の体に当てはめたらしく、上から下まで見た後で目を細めた。

「行くな。行ってほしくない」

ああぁ……。

もう、完全にあっちのペース。
とにかく色々な感情で胸がいっぱい。
嬉しさとか、恥ずかしさとか、腹立たしさ、憎たらしさ、それにとにかくずるいって思う。

「有村に触れるのは俺だけがいい。ダメなのか……?」

ほら……。
まだ良いって言ってないのに。行かないとも言ってないのに。
触れていいって、それってもしかして私の許可を求めてるの?
今、ここで触れてもいいかって。

「都筑さん……」

鼻先を触れ合わせて、お互い目を合わせた。
額をかすめる彼の芯のある前髪がくすぐったい。
目が綺麗すぎて酔いそう。

「行かないよな、有村」

私が先にダウンして下を向きそうだったところに、ついに彼は唇を合わせてきた。

下から掬いとられるようなキスは、彼の唇に強引に正面へと戻されていく。

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