イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

坂田くんとのやり取りは、もっと楽しかった。
返事なんてすぐ返ってこないことの方が多かったけど、待つ間もワクワクして……って、ダメだ、何考えてんの。


「どうしたのぉ? さっきからため息ばっかり。幸せが逃げまくってるわよ?」

ぴょこん、とパソコンの間から梓沙さんの顔が覗いた。

「もしかして、まだ体調良くないの?」
「いっいいえ、それは全然もう、大丈夫なんですけど」

どもりながら言うと、隣から「先輩、元気出してくださいっ」って光莉ちゃんの声。

「終わった恋は、さくっと忘れましょう。うちの会社、まだまだいい男いーっぱいいるんですからねっ」

上手くいかなかったって伝えただけだし、気になってるだろうに。
それでもそれ以上突っ込まず、そっとしておいてくれる2人には感謝しかない。

「あはは、うん、そうだよね」

笑って気まずさを取り繕い、ささっと立ち上がった。

「眠気覚ましに、コーヒー買ってきます。誰かいる人います?」

一応周囲に確認するも、みんな特に大丈夫、との返事で。
わたしは一人、休憩コーナーへ向かった。


――ここに閉じ込めるぞ? オレと一緒に、朝まで。


時間が経つほど鮮明に、響く言葉。
なんで彼は、あんなことを言ったんだろう?

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