イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
16. All for one

さっそくわたしは、宇佐美さんと日向さんに連絡を取った。

多忙に違いないだろうに、無理やりスケジュールをやりくりしてくれたらしく、即了解って返事が返ってきて。
その日の夜、わたしたち3人は共通のお気に入りであることが判明した、ブルームーンへ集まった。

目立たない隅の円卓に腰を下ろし、ひとまずビールで喉を潤して。
それからわたしは訥々と、知る限りの情報を打ち明けた。

わたしたちの関係は、2カ月限定のものだったこと、
彼が電話口で、お金の問題を匂わせたことがあること、
坂田くんの携帯に、何度かイタズラ電話がかかってきたこと、

そして、イブの夜に見た、泣きボクロの美女のこと、
彼女の左手薬指に輝く、指輪のこと……
つまり、一連のトラブルは、彼女の離婚問題がこじれた結果じゃないか、と自分の考えを述べて締めくくった。

なんとかうまく説明できただろうか、と2人の反応を伺うと――ん? なぜか不思議そうな顔?

「つまりあんたは……自分があいつの本命じゃないって言ってるのか?」

「君との関係は不倫を隠すためのフェイクで、自分は愛されてないと?」

わたしとの関係? 
真っ先に突っ込むのはそこなの?

なんとなく首をひねってしまいつつも、その通り、と真顔で頷くと、彼らは顔を見合わせ――


「ぶ、ぷぷっ……」
「ぶぁははははっ!!」


……爆笑した。

< 369 / 539 >

この作品をシェア

pagetop