イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

坂田くんは、よく禁煙できたな。
親睦会の時なんか、わざわざ電話だって嘘ついてまで、抜け出して吸ってたのに。

わたしたちの始まり、とも言うべき数か月前の出来事を、懐かしく頭の中へと思い起こして――……


刹那。


雷に打たれたみたいに、わたしの中を何かが突き抜ける。
ガバッと弾かれた様にシートから背中を剥がした。


そうだ、
どこかで見たことがあると思ったのよ、あの男。


滞ってた回路が、急につながって流れ出したみたいに、
脳裏に形を成していく、一つの映像がある。


――大事な電話だから、折り返さないと。すぐ戻る。

そう言って親睦会の会場から抜け出した坂田くんを追いかけて……路上の喫煙所にたどり着いて。
そこで、見たんだ。
茶髪の男、そうよ、タトゥーがあって、ちょっと怖いなって思ったのよ。

あのタトゥー、髑髏、だった気がする。

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