水に溺れた君と夏

いちのさん

「今日の日直は吉良と宮川。よろしくな」

…あぁ、席順的にそうなるのか。

「って、吉良!席替え終わってすぐ寝るな!」

先生がそう言うとクラスから笑いが起きる。
彼が授業中寝てたりするのは日常茶飯事だ。
夏は特に部活の朝練があって疲れるんだろう。

「んー…。」

そんななんとも言えない返事をする吉良君。
本当に同い年なのか?
幼い顔立ちの性かそう思ってしまう。

「ったく、とりあえず宮川。
日直の用事の時はしばき起こしてやれ。」

おいおい。教師がそんなこと言って大丈夫なのか?
でもこの親しみやすさがきっと先生が生徒から好かれる理由でもあるのだろう。

「…はーい。」

とりあえず適当に返事する。
日直の仕事って言っても黒板消したり
日誌書いたりする程度だしね。

起こすほどでもないか。

そう思ってたんだけど…
吉良君はちゃんと日直のことやってくれてる。
まぁ度々上田君に叩き起こされてたけど。

あれ、仲良かったっけなぁ。
上田君と吉良君。
昼休み瑠璃に聞いてみるか。
< 10 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop