水に溺れた君と夏
しばらくの沈黙に梓月が口を開く。

「あのね、伊月。
伊月の夢は俺の夢で、俺の夢は伊月の夢。
それは変わらないよ。」

あぁ、わかってくれていた。
それと同時に申し訳なさが心を蝕む。

陽都を応援することは、
ずっと私のためにも頑張り続けてくれた梓月を裏切ることになるんじゃないかって。

「俺らは支え合ってきて、
今俺は、水泳を続けることが出来てる。
─俺は、ずっと伊月と泳いでる。─」

あぁ、だめだ。泣きそうだなぁなんて。

「応援したい奴がいるなら、してくれて全然いい。それは伊月の自由だし、俺が決めることじゃない。」

言わなくても、分かってくれる梓月に
涙がこぼれる。
< 63 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop