俺様幼馴染の溺愛包囲網
そんな風に言ってもらえるなんて、考えてもなかったから、すごく驚いたし、嬉しかった。

「はい。ぜひ。住ませてください!」

「良かった!」

そう言ってにっこり笑った目尻には少し笑い皺が浮かんでいたけど、やっぱり亮平にそっくりだった。



こうして、私たちは結婚後も藤田の屋敷に住むことになった。


それなら、もうすぐにでも!
と言い出したら聞かないのが亮平で…。

でも意外なことに、枚岡の両親からはすぐにOKが出た。

「いずれ住むんだもの。今から必要なものを買い足したり、自分達の家にしていったらいいと思うの。亮ちゃんが当直の時は、うちに戻ればいいし。
ね!亮ちゃんも1人で結衣子を置いておくより安心よね?」

「おう!結衣子、絶対そうしてくれ。
俺も安心だ。」

いや、子供じゃないんだから、1人でも大丈夫なんだけど……ま、いっか。

「それに、結衣子だって、明け方にこっそり帰ってくる生活は、もう大変でしょう?」

そう言ってニヤニヤ笑いかける母。

………バレてる⁉︎

い、いつから⁇

「そうだぞー。俺は朝も元気なんだ!
なのに結衣子、いっつも帰るしー!」

「な、な、なに訳のわからないこと言ってるの!
バカ亮平!」

「おばさん、結衣子がつれない〜〜。」

「大丈夫よ、亮ちゃん。
結衣子は断れない子だから、一緒に住んでくれるわよ。」

なんなの……
私、アウェイなんじゃない?これ。

「わかったよ…。引越すよ。」

「「よし!」」

言質は取れたとばかりに、その日のうちに簡単な荷物をまとめさせられ、隣へと送り出された。
足りないものは、いつでも取りに帰れるし。
……うん、本当に恵まれた環境だ。



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