宇佐美くんの口封じ





私と宇佐美くんが一緒にいることで、宇佐美くんのことを好きな女の子たちの“普通”を壊してしまった。


“みんなの宇佐美くん”を好きな人たちを傷つけてしまった。



私みたいな平凡な女が、彼女でも遊び相手でもない枠にいていいはずがない。




「…せんぱい、こんなの気にすることないから」

「っ待って宇佐美くん、」




そう言って私の腕をつかんで保健室を出ようとした宇佐美くんの動きを止める。
私は麻央さんに目を向け、そして、言った。




「…心配しなくても、私はもう宇佐美くんとは関わらないよ」




戻れなくなる前に、私は彼と距離を置かなくちゃいけないのだ。





「…せんぱい、何言ってんの」

「っ、本当はもっと早くそうするべきだったんだよね!思ったより宇佐美くんといるの楽しかったから甘えちゃったんだ…だから、」

「待ってよせんぱい、」



宇佐美くんの力が弱まった隙を見て腕を振りほどく。






「宇佐美くんと私は違う。…だから、もう元に戻ろう?」






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