宇佐美くんの口封じ
宇佐美くんの暇つぶし




結局、全くもって私の話を受け入れない宇佐美くんと一緒に音楽室に向かうと、ちらほらと部員のみんなの姿があった。




「じゃ、頑張ってくださいね」

「あ、えと、うん…」



そう言った宇佐美くんは、自分のバンドメンバーが待つ方に向かう。「宇佐美くんもね」と返す暇もなかった。




ふと捉えた視線の先。



サラが気まずそうに私を見ているのが分かった。
休みじゃなくて良かったと思うと同時に、何をどう話そうという不安が襲う。

あくまでいつも通りを装い、小さく手を振ってサラの方へ足を進める。






「あ、…お疲れ様」

「…おつかれ。遥馬(はるま)はいつも通りのやつ。玲(れい)も日直で遅れるって、さっきすれ違った時に言われた」

「そ、そっか」





私たちのバンドグループは、男女4人で形成されている。

ボーカルのサラ、ベースの遥馬、ドラムの玲。そしてギターの私。





遥馬はよく課題を出さずに放課後居残りをさせられることがあり、どうやら今日もそれらしい。

ちゃんとやってきなよって毎回言ってるのに、彼にはどうも反省の色が見られない。


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