君にとびきり甘い“愛してる”を。



  * * *

「皆さん、入社式はお疲れ様でした。社長の兼田瑠樹(かねた るき)です。親睦を深められたらいいなと」


社長の挨拶をしている中……目が合った。何故か、見たことある気がするのはなんでだろう。


「─︎─︎─︎─︎─︎莉子ちゃんっ」


(……え?)


(今、“莉子”って言った…?)



社長の挨拶が止まったからか…周りが騒つき始め、周りがチラホラ話す声が聞こえてきた。


「どうしたのかな…?」
「社長……固まってるけど」
「しかも、莉子って誰なの……?」


(でもなんで知ってるんだろう……?)


「……兼田社長……社長!! 挨拶、してください!」


司会者が小声でそう言うけど、彼は舞台から飛び降りると……真っ直ぐ、私の方へ歩いてきた。


「社長……っ! 戻って下さい!!」


今度は秘書の方が叫んだ。だけど、聞こえないのかそれに応じることなく私の前にきた。


「……見つけたっ……っ!」


えっと……誰、だっけ。私、面と向かって社長に会ったことあったかな。


「莉子ちゃん……っ!」


彼は私を見つめるとぎゅっと抱きしめた。


(……えっ? な、何この状況は……なんで抱きしめられてるの……っ)






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