漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~



 次の日は行楽日和の天気だった。
 そんな日に悩んでウジウジと部屋で過ごすより、外に出掛けて気分転換出来て良いかもしれない。そう思い、和歌に感謝しながら出掛ける準備をした。
 あまりおしゃれをしすぎてもいけないと思い、ロングのスカートにブラウス、そして足元は歩きやすいようにシューズ、そんなカジュアルなものにした。
 

 「おはようございます」


 そう言ってマンションの玄関には和服姿の和歌が立っていた。今日は深い紺色の着物に身を包んでいた。明るい灰色の帯には、白と金の糸で刺繍が施されている。そして、今日はしっかりと髪を整え、白い紐で結ばれており、純白の紐は少し長く、彼が動くと、後ろ肩でゆらゆらと揺れていた。

 響は和歌に駆け寄り、「おはようございます」と挨拶を返す。すると、「今日は天気がいいので車より歩きたいのですが、よろしいですか?」と、聞かれたので響は「もちろんです」と、喜んで返事をした。
 響は歩くのが好きなので、こんないい天気に車は勿体ないなと思っていたところだった。
 2人は並んでゆっくりと歩き始めた。


 「着物屋さんは近いのですか?」
 「隣町にあるので、電車を使いますが一駅ですし、そこからはすぐに着きますよ。その近くに美味しい和風カフェがあって、和菓子がとても美味しいんです。買い出しが終わったら寄ってみませんか?」
 「わぁ………ぜひ行ってみたいです!」
 「では決まりですね」
 



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