漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~



 「あぁ。まぁ、いざとなれば俺が迎えにいって、不自由なく暮らせるようにしていければいいとも思ったが、響はそういうタイプじゃないだろ?きっと、剣を握っていたいと願うはずだって思ったんだ。それでいろいろ考えてゲーム会社にしたんだ。今は盛り上がっている分野だし、響の剣技を取り入れたら絶対にかっこいいだろうって思った。もちろん、まだまだやってみるべき事はあると思ってるよ。………そして、剣道が出来なくなった時の居場所をそれまでに作ろうって思ったんだ」
 「だから、剣道部をやめたの?そして、この会社に?」
 「あぁ………まぁ、少しは役に立てただろ?」



 得意気に笑う千絃の笑顔は、今までで一番誇らしげで、とても嬉しそうだったように響は見えた。



 「………千絃はずるい。そうやってかっこいい事ばかりするんだから」
 「そんな事ないだろ」
 「……してるよ。だから、私も好きだったんだと思う」
 「…………それを聞いて安心した」
 「怒ってない?」
 「俺が怒ってる顔に見えるか?」
 「…………私の大好きな笑顔だよ」
 「…………おまえも同じだ」


 千絃はそう言うと、響の事を抱きよせ、小さなキスをする。そのキスは、今までの何よりも優しく、そして響の心を晴れ晴れとさせるものだった。


 彼は強気で俺様な幼馴染み。
 けれど、今は少しだけ変わった。
 響にとってとても誇らしく、沢山の人に自慢したい恋人となった。




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