心を ほどいて  ~コーディネーター麻里絵
7

スマホを開いて ニュースに目を通して。

梅雨明け直後の空は 

7時を過ぎたのに まだ 薄明るい。


連続4日目の 猛暑日という ニュースに

車のエンジンを 切ることが できない。


夏は 嫌いだなあ…


アパートの エアコンタイマー 今日は 入れてきてないし。


1人暮らしの部屋に 帰ったときの 

熱気を思い 顔をしかめた時 


私の隣に 車が 滑り込む。


エンジンを切って 私が 車から出るより先に

田辺さんは 車を降りた。


「お疲れ様。」

同じ言葉を 掛け合い。


「暑いけど。少しだけ 歩いて。」

田辺さんは 少し笑って 歩き出す。


「あれ?リクエスト 聞いてくれないの?」

田辺さんの 後ろを歩きながら 私は言う。

「うん。そこのホテルのレストラン 予約しておいた。」

「うわぁ。田辺さん そんなに 気張って。いいの?」

「たまにはね。俺 ボーナス 結構もらったからさ。」

田辺さんは 振り返って 私を見る。


クスッと笑う顔は 優しくて。

気を許して しまいそうになるけど。


でも 多分 まだ駄目だと思う。

いざとなると 私は 逃げ出す。



だから このまま 曖昧な関係で。





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