アテナ・イェーガー〜出会い、のちにキス〜
アテナは腰につけたナイフをといだりしていて、いつも話を聞く側だ。しかし、たまに話に入ってきてくれる。

「その薬草は押し潰すだけでは汁は出てこない。すり潰すんだ」

薬草学での失敗をロネが話すと、アテナがナイフをとぐ手を止めてアドバイスをくれる。アテナは薬草学に優れているため、ロネは何度もアドバイスをもらっている。

「なるほど、ありがとう!でも、アテナは学校に行っていないのにどうして薬草学に詳しいの?」

「ここで独りでずっと生きているんだ。自分のことくらい自分で治せないと意味がない」

その寂しげな目は、やはり誰かに似ているとロネは思った。どこかで見覚えのある顔を時々アテナは見せる。

沈黙が二人に訪れた。ロネはそっとアテナの手に触れる。アテナの体がびくりと震えた。初めて触れた手は冷たい。それでも、ロネは嬉しさを感じた。

「アテナは独りじゃないよ。だって、俺がいるからさ。俺はもっとアテナのことを知りたいって思っているから」

そうロネが笑うと、「変な奴」とアテナはそっぽを向く。しかし、その耳は赤く染まっていた。
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