男心と春の空
最悪な雨
コンビニに寄ると、やっぱり八重島はいた。

八重島は品出しの最中だったけど、俺とアキナを見るとすごく驚いてた。

「え、須賀アキナじゃん。は?なんで?」

相変わらず驚いていても話し方はスローだ。

「ここで働いてるってはまちゃんに教えてもらって。」

アキナがニヤッと笑いながら答える。

「えー、二人そういう関係だったの」

八重島は俺とアキナを交互に指差す。

「大学同じだけだよ。」

俺が答えると、またさらに驚いた顔をした。

「大学同じなの?」

八重島がそう聞くと、アキナが俺に向かって「ねー」と言ってきた。
可愛かった。

「なんだよー、だったら付き合っちゃえよー」と言いながら、八重島はちゃんと手を動かしてた。
こいつ、意外と仕事してるのかもしれない。

「はまちゃんには可愛い彼女いるんだよー」

アキナが突然そんなこと言うから心臓止まりそうになった。

「はまちゃん、なんだ、そっかー」

八重島がニタニタと俺を見上げる。
手をしっかり動かしながら。

「まあね」と言う自分の声は低い。
うまくいってないからだ。

「じゃ、八重島にも会えたし帰るか」

俺がそう言うと、アキナも「そだね」と言う。

適当にお菓子とペットボトルに入ったジュースを買って店を出ると、駐車場にその姿を見つけてしまった。

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