幸せにしたいのは君だけ
有名な高級ジュエリーブランドのネックレスに、腰が引ける。

しかもペンダントトップに輝いているのは、ダイヤモンドじゃないだろうか。

キラキラ輝く光が眩しい。


「いいんだ。佳奈に贈りたかったんだから。クリスマスに会えなかったお詫びも兼ねて」


後半のセリフにチクリと胸が痛んだ。

脳裏に、あの日見かけた姿がよぎる。


気にしても仕方がないのに。

見間違いかもしれないのに。

心の奥底にしまい込んだはずの小さな不安がふいに顔を出す。


「佳奈? 気に入らない?」


黙り込んだ私を訝しむ圭太さんに、慌てて首を横に振る。


「ううん、綺麗すぎてビックリして……ありがとう、すごく嬉しい」

「よかった」


ホッとしたように口元を綻ばせる彼に、微笑みを返す。

小さく揺れる花のモチーフがとても可愛らしい。


……気にしすぎよ。

圭太さんならきっと帰国する時は教えてくれるはず。

そうじゃなかったというなら、きっと人違いだったんだろう。
< 105 / 210 >

この作品をシェア

pagetop