幸せにしたいのは君だけ
佳奈は俺のそんな気持ちをきっと知らない。

年上だというのに、余裕のない俺は本当にカッコ悪い。

こんな姿は絶対に佳奈に知られたくない。


これまでの自分の恋が、どれだけ浅はかなものだったのか思い知らされた気がした。

今まで交際してきた相手に謝罪したいくらいに。


遠距離恋愛が嫌いな、可愛い年下の恋人。

アメリカに戻る日を平日に決めたのは見送りを避けるため。

佳奈を空港で抱きしめたら、きっと離れがたくなる。


ずっと日本でともにいられるようにするために、仕事をこなさなくてはならない。

厄介なはずの案件だが、諦める気にはならない。


意地っ張りな恋人が寂しさに負ける前に。

俺のなけなしのプライドが崩壊する前に。

一刻も早く、もう一度抱きしめたい。


拳をぎゅっと握りしめ、狭い窓から空を見つめた。
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