幸せにしたいのは君だけ
この人といるとまるで自分が何歳も年下の少女のように思えてしまう。

二十六歳の立派な大人だというのに。

なにを言っても簡単にやり込められてしまう。

しかもそのほとんどが強がっていたり、意地を張っている時ばかりなのだから、余計に分が悪い。


そして、こんな風に振り回されているのに、本気で嫌がっていない自分がいる。

圭太さんといると私は素直な自分でいられる。

無理に背伸びをしたり取り繕ったりしなくてすむ。

でもそれを認めるのはどこか悔しい気がしてしまうあたり、私は可愛げがない。


こんな時、澪さんなら素直にお礼を伝えていたのだろう。

幾つになっても可愛らしく真っ直ぐな先輩。

しっかりしているのに変なところで無防備で、それでいて凛とした強さをもった私の憧れの女性――圭太さんの自慢の幼馴染み。


「佳奈?」

「……わかりました。一緒に出かけます」


こんな言い方しかできない私は大人の女性からは程遠くて、全然可愛くない。
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