紡ぐべき糸

16


月曜日に 出勤した聡は 上機嫌で。


お茶を差し出す啓子に 輝く笑顔で
 
「ありがとう。」

と言う。


あんなに 切なく泣いたのに 啓子は 聡の笑顔に ホッとしてしまう。


まだ 聡が好きだと 啓子は 思っていた。
 

聡の恋が 叶ってよかった。

すぐには 諦められそうもないけれど。


きっと 幸せそうな聡が 啓子の気持ちを 切り替えてくれる。

それまでは 静かに 思い続けよう。


こんなに好きなのに 急に 嫌いになんて なれないから。


そんな風に思いながら 啓子は毎日 聡を見つめていた。
 



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