紡ぐべき糸

23


一月二日 啓子は 短大時代の同級生数人と 温泉に行くと言って 家を出た。

母は、
 
「雪道の運転 気をつけてね。」

と啓子を送り出す。

啓子には 何も聞かないけれど 母は 薄々気付いている。


最近 啓子は 外出が増えているから。


それに 明るく 綺麗になったから。
 

「うん。みっちゃん 運転 慣れているから 大丈夫だよ。お饅頭 買ってくるね。」

と言って 啓子は 母に手を振る。
 


近くのスーパーの駐車場で 聡は 車を停めて 待っていた。
 

「おはよう。」

と啓子が 車に乗り込むと
 
「おうち、大丈夫?」

と聡は聞く。
 
「お母さん ちょっと 疑っているかも。運転 気をつけてって 言っていたよ。」

啓子は 恥ずかしそうに答える。


いつまでも 過保護な両親と 自立できない自分に。
 


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