紡ぐべき糸

「本城、勝ち組って感じだよな。すごく 綺麗になったし。女子アナみたいだもん。」


美咲も 体を横に向けて 聡の方を向く。

聡の言葉に 美咲は 心地よい笑い声を上げて、
 

「そんなことないよ。変わらないって。横山君こそ 遊び人オーラ 全開になったね。」

と言った。
 

「何だよ、それ。褒めているの。」

聡が 少し拗ねた声で言うと、
 

「もちろん。」

と美咲は 明るく答えた。
 


「俺さ、昔 本城に 勉強 勝てなくて すごく 悔しかったんだ。」

聡が言うと、
 

「えー。そんな風に 見えなかったよ。横山君 いつも明るくて。人気者だったから。実は私も 横山君に 憧れていたんだよ。」

と美咲は 少し照れて言う。
 

「狭い世界で いい気になっていただけだよ。井の中の蛙 だったの。」


広い世界で 華麗に 花開いた美咲に 聡は 賞賛の思いを込めて 言ってみる。
 

「悲しいこと 言わないでよ。横山君は 私の 初恋の人なんだから。」


美咲は また 包み込むような 優しい目で 聡を見た。
 

思わず聡は 美咲を 抱き寄せてしまう。


一瞬 体を堅くした美咲は すぐに力を抜いて 聡に もたれる。



聡は そっと 美咲の唇を 塞ぐ。

甘い欲望が 聡を 駆け抜ける。
 

「俺 もっと美咲と こうしていたい。」


長いキスの後 聡が言うと 美咲は頷いた。



聡は 郊外のホテルまで 車を走らせた。
 
 


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