紡ぐべき糸

6


美咲が 東京に帰ると 聡も 以前と同じ 毎日に戻る。


美咲への思いは 心に引っかかったまま 聡は 日常に流されていく。

会えない美咲には 慰められない。

でも 会えないから 心に膨らんだイメージに 聡は 捉われていた。
 


《美咲、元気?》

時々、聡は 美咲にメールを送る。
 
《うん、元気だよ。横山君は 元気?》

美咲は いつも 明るく 返信してくれた。
 
《俺 美咲に会えないから 元気ないよ》
 
《うまいなあ 女心を くすぐるの》
 
《体を くすぐるのも、うまいでしょう》
 
《それは、どうかな?》

《えっ。マジで?》
 
《うそ~。どっちも 上手です》



美咲とのメールは どこか温かくて。

聡は 一人で フッと笑ってしまう。
 


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