嘘つきは恋人のはじまり。
スッキリした気分でリビングに戻りながら鞄を持ってくれば良かった、と後悔した。
あれだけ酷い顔を晒していたらスッピンなんて、と一瞬思いそうになったけど、それはそれ、これはこれだ。
わたしはリビングに置かせてもらった鞄からポーチを取り出してもう一度洗面台に戻ろうとした。せめてファンデーションと眉ぐらいは、と思ったのだ。だけど。
「メイクする必要あるか?」
九条さんに言われて足を止めた。
「俺のことなら気にしなくていい。飯食うだけだろ?またメイク落とすの面倒くさくないか?」
心がぐらつく。ちゃんとしなさい、という自分といいじゃない、という自分。天使と悪魔が囁き合う。
「化粧水欲しいならあるけど。乳液?クリーム的な、あ、美容液だっけ?」
なんでそんなものまであるんですか!?
と、驚きすぎて声に出せるはずもなく。
「ここの会社うちのお客さんなんだ。だから新しい商品が出るたびにくれる。俺がもらっても仕方ないし会社に持ってくんだけど、もし玲が気に入ったなら持って帰っていい」