恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

羽瀬秋人side


──俺が結婚してやるよ。


沙和を前にして、気がつけばそんな事を口走っていた。自分で自分の言葉に驚きながらも、それでも止められなかった。本心だったからだ。


──俺はお前の主治医でも、友達でもない。だからお前を守る理由が欲しい。

──だから頷いてくれ。俺と婚約するって。


誰かの事を守りたいと思ったのは初めてだった。
自分の側におきたいと思ったのも。

その理由が欲しかった。

そうする為の手段が、あれほど忌避していた結婚だというなら、それでもかまわない。いや、沙和とならむしろだ。

そんな俺からの唐突な提案に、沙和は一体俺が何を言っているのか分からないといった様子でただただ戸惑っていた。

そして俺は、ここから沙和が出ていかないよう、もし逃げたりしたら沙和が実家に帰っていない事を隼斗にばらすと言って脅しをかけた。
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