恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

そう言うと、沙和の瞳が小さく熱を帯びたのが分かった。

そしてイヤリングの入った箱をそのまま大切そうにきゅっと両手で包みこむように握り、嬉しそうに顔をほころばせた。


「お守りとして、付けるか持ってて欲しいって。…カモミール、好きだったのか」
「はい、前に育ててた事があって。そんな話したのなんかもうずっと前なのに、覚えててくれたんだ…」

知らなかった。沙和が好きな花の事なんて。

沙和と知り合ったのはつい最近の事で。隼斗とは積み重ねてきた時間がまるで違う。

些細な事を比べても仕方がない事は分かっていて、そして、好きでもない女の好きな花の種類なんか何年も覚えている筈がないという事も分かっていた。









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