もう僕は彼女に愛される前に戻れない。《短編》
始めは言葉のナイフだった。


近寄らないで、


汚れる、


汚染されるとか。


僕が近寄ったわけでなくあいつらが近寄ってきたのに。


僕がウイルスや菌が持っているわけではないのに汚れるとか汚染されるとか。


毎日のように何かを言われていた。


あいつらが言葉のナイフに飽きた頃、今度は物を捨てられたり、隠されたりするようになった。


1回目は、教室で僕の机がなくなっていた。


椅子もない。


その日はそのまま家に帰った。
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