アテナ・イェーガー〜デート、のちにキス〜

温もり

「さっきはごめん」

カフェを出た後、ロネに泣き止んだアテナが謝った。その顔はうつむいているため、表情はわからない。

「どうして謝るの？」

「泣いてしまった」

そう震える声で話すアテナを、ロネは優しく抱き締めた。ドクドクと優しい鼓動が響く。

「俺は気にしてないから。だから、聞かせて？何か思い出しちゃったの？」

そっとロネの背中に手が回される。アテナは涙をこぼしながら話し始めた。

「私は、武器として生きろって言われたことがある。その人から武術を学んだ。でも、私に愛を教えてくれた人がいた。その人のことを、お前がキスしてくれたあの時から時々思い出すようになった……」

「そうなんだね」

「あの人の全てを思い出したい！あの人の名前が思い出せなくて。私、私……」

泣き続けるアテナの頭を優しくロネは撫でた。アテナの髪はとても柔らかい。

「思い出していけるよう、一緒に色んなものをこれからも見ていこう？きっと思い出せるから」