月が綺麗ですね



「はあ〜……。汚すぎでしょ。こりゃあ明日も残ってやる羽目になりそう……」

あたしは生徒会長をしている。今日は使われなくなった空き教室の掃除を頼まれてしてるんだけど、もう使われなくなった教科書は山積み、埃だらけで机の椅子もぐちゃぐちゃのひどい有り様。見ているだけでため息が出る。

他の生徒会役員はみんな用事があるって言ってたし、ここは一人でやるしかないか。

制服を汚すといけないからジャージに着替え、あたしは早速掃除を始めた。でも一人では片付けが追い付かないほど教室は汚い。

「はあ……」

何度目かのため息をついた刹那、ガラリと教室のドアが開いた。ドアの方を見れば鈴木くんが立っている。

「鈴木くん、どうしてここに?」

「えっと……山中さんを手伝いに来ました!先生からここにいるって聞いて……」

そう言う鈴木くんは制服ではなくジャージ姿だ。あたしは鈴木くんが来てくれたことが嬉しくて、「助かるよ!ありがとう」と言った。鈴木くんはいつもそう。あたしが困っている時、いつも真っ先に助けてくれる。
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