契約結婚！一発逆転マニュアル♡
依舞稀に襲い掛かりそうになる自分の気持ちを必死に抑えるために、遥翔はギュッとスマホを握りしめた。

「入籍することは両親に話してはいたんだが、ちゃんと報告した方がいいだろうな。依舞稀にも電話、変わってもいいか？」

不意に遥翔からそう言われ、依舞稀の身体は一気に緊張した。

普通であれば、結婚前にご両親に顔合わせするもなのだが、依舞稀達は順番が違う。

いくら結婚に了承してくれたとはいえ、なんと常識のない女だと思われてはいないだろうか。

嫁姑問題どころか、勘当、社長就任どころか、副社長辞任なんてことにならなければいいのだが。

「依舞稀は本当に顔に出やすいな。何考えてるか、すぐにわかる」

ふっと遥翔が笑えば、依舞稀はムッとしかめっ面をする。

「たった電話一本で、大事な息子が得体の知れない女と結婚しちゃったんですよ？いくら報告済みだとはいえ、こんな常識はずれなこと、快く思ってくださるはずないじゃないですか」

婚姻届けを提出する前に、もっと深く考えるべきだった。

いろんなかとがありすぎて、自分のことしか考えられなくなっていたせいで、遥翔の両親の心情まで深く考える事ができなかったのは自分のミスだ。

こんな勝手を強行しておきながら、電話一本で済まされるはずがない。

「ちゃんとご挨拶に行きましょう。このまま電話で報告だなんて、人としてあまりにも無責任すぎます」

依舞稀の必死さに押され、遥翔は「わかった。今から時間があるか聞いてみよう」と、父の誠之助に連絡することにした。
< 86 / 230 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop