片思いのあなたに再会してしまいました
居酒屋を出るともう夜はとっぷりとふけて人通りはまだらだった。
もうすでに終電はなく、もし仮にあったとしてもこんな泣きはらした顔では人前に出られない。

「槙さん、色々とありがとうございました。
槙さん自身も辛いことだったのに、話してくださって……。」

「俺はいいんだよ。自分勝手だけど、石田に話せたことで少し罪悪感が減ったような気もする。
俺はただ、どんな形だったとしても、石田と恭平がこれ以上苦しまないでいられるようになればいいと思ってるよ。」

彼はそう言って大通りに出て私のためにタクシーを止めると、まだ残っているメンバーと合流すると言って去っていった。

このサークルに入ってよかったな。
本当にたくさんのいい人に出会えた。

すっかり緩くなってしまった涙腺が再び涙を生成してしまいそうだったので、私はゴシゴシと目を擦って車窓から夜の街を眺めた。

自分の中にストンと落ちてきた恭さんへの感情は謝罪の気持ちと昔、そして今もあなたが好きだという気持ち。
今度こそ、ちゃんと伝えないといけない。
そのためにはしなくちゃいけないことがたくさんある。

自分勝手が招いたことに落とし前をつけなければいけない。
それはひどく憂鬱だけど、なんだか今までで一番晴れやかな気もした。
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