片思いのあなたに再会してしまいました
9.…………
あれから5年が経った。
33歳になった私は変わらずフタバフーズ広域営業部で働いている。
変わったのはその肩書き。
ただの平社員だった私はついに主任になった。

「主任!先日お話ししたマルフクさんの件どうしますか?」
「ああ、私が後で連絡しておくわ。ありがとう」

主任になると携わる仕事は増え、さらに後輩の育成にも力を入れなければいけない。
大変なことばかりだけど毎日がやりがいに溢れている。

私は部の中でも課やチームの移動を繰り返しており、現在はエブリデイの担当ではない。
日本最大手の量販店チェーンや現在急成長中のコンビニチェーンなど顧客は多様だが、広域事業部に来て初めての仕事であった恭さんとの企画で学んだことはどの取引先でも活かすことができていると思う。

本日は某カフェチェーンとの約束である。
前々から提案していたうちの商品を使ったメニューが採用されて、現在発売中なのだ。
私は足繁く様々な店舗に通っては、売れ行きやお客様の様子を確かめていたが、概ね好感触。
今日は本社にうかがって実際の数字などを確かめることになっている。

「石田さん、新商品とても好調です!
SNSでも結構取り上げられたりしていて、これは定番メニュー化も狙えそうです。」

「本当ですか!?嬉しいですね〜。」

実際の数字も良いし、マーケティングの通り10代20代の女性からの支持が高い。

「販売期間はあと1週間ですが、このまま様子を見て状況が保たれるようなら、私からしっかりと定番メニューになるよう上に掛け合います。」

「よろしくお願いします!」

またひとつ仕事が成功した。
私は軽い足取りで新宿へ向かった。

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