片思いのあなたに再会してしまいました
2.思い出してしまいました
大学時代、私はそこまで規模の大きくない企画系のサークルに所属していた。
大人数でワイワイとしながら飲み会ばかりするようなサークルは性に合わないと思ったから。
そのサークルは新歓の時から無理に大学生らしく騒いでいない雰囲気が気に入って入部を決めたのだ。

大学のサークルというのは1年女子は姫、というような暗黙の了解があるもの。
例に漏れず私も1年目はチヤホヤされた。
しかし段々そういう扱いはされなくなる。
でも私にはそれが心地よかった。
もとからサバサバとした付き合いの方が好きだった私にとって姫扱いはちょっと気持ち悪い。
そのこともあってだんだん扱いが雑になってきた頃の方が出席率が高かった気がする。

柴田恭平と関わりを持つようになってきたのもこの頃からだった。
姫扱いだと逆に甘えられない。
扱いが雑なら甘えても何言ってんだよと笑ってごまかしてもらえる。
そんな少し生意気な後輩というポジションが心地よかった。

うちのサークルは活動が盛んじゃなかったぶん、それ以外でこじんまりと集まったり遊びに行ったりする機会が多かった。
私と恭さんは同じグループで出かけることも多く、この頃から恭さんと呼ぶようになった。
大好きな先輩、それが変わったのは2年の4月だった。
先輩はいわゆる新歓担当でその頃は目が回るように忙しかったわけだが、私は積極的にお手伝いをしていた。
その中で先輩の見せる気配りや相手への思いやりやらに感動して、気づけば目で追っていた。

あ、私、恭さんのこと好きなんだな。
今までこの人なら付き合えるかも、というように打算的に相手のことを好きになっていた私にとって、単純に好きだという気持ちが湧いてくるような人は初めてだった。

これが私の初恋だった。
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