出逢いがしらに恋をして
 すると、狭い通路の向こうから背の高い男性が歩いてきた。

 あっ、宮沢さんだ。

 会釈してすれ違おうとしたとき、彼はわたしの前で立ち止まった。

「高橋さん、大丈夫?」

 そう言って宮沢さんがわたしの顔をのぞき込んできた。

 「具合悪いんじゃない? 今日はずっと大人しかったから気になってたんだよ。
 あんまり食べてなかったみたいだし」

 わたしは思わず、宮沢さんの顔を見つめてしまった。

 ずっと、離れた席に坐っていたのに。

 わたしの調子が悪いのを気にかけてくれていたなんて。

「ちょっとお腹が痛くて。でも大丈夫です」

「そっか。でも無理するなよ」

 そう言って、宮沢さんは通路の奥に消えた。
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