出逢いがしらに恋をして
「まあ、言っちゃなんだけど、戦う相手が悪すぎたね。亜矢美さんじゃね」

「だよねー。勝てるとこひとつもないもん。自分でもわかってるけど」

「高橋さんのいいところは、身の程を知ってるとこだね」

「こら、落ち込んでる女をさらにムチ打つようなこと言う? ふつう」

 まあまあと言いながら、坂上くんはわたしの肩を抱いてきた。

 この人は誰かれ構わず、こういうスキンシップをする癖がある。

 最初は驚いたけれど、今ではもう慣れっこになって、なんとも思わなくなっていた。

 そのまま少しじゃれ合っていたら、ちょうど、外出先から宮沢さんが帰ってきた。

「あっ、マネージャー。お疲れ様です」

  坂上くんが挨拶した。
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