レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「――なあ,リディア。もしもオレと出会ってなかったら,お前はあの王子との縁談を受け入れてたのかな?」
リディアは首を横に振った。
「きっと,あなたに出会うのをずっと待っていたと思うわ。わたしは,あなたが運命の人だと信じているもの」
デニスはドギマギしつつ,リディアを見つめる。
「だって,父親三人が身分を越えた友人同士で,その三人の子供達も幼なじみ同士で,しかもそのうちの二人が恋に落ちるなんて。もう運命だとしか思えないでしょう?」
「リディア……」
確かに,「偶然」の一言で片付けてしまうには,偶然が重なりすぎている。もうここまでくると,神が(めぐ)り合わせたとしか言いようがないかもしれない。
< 177 / 268 >

この作品をシェア

pagetop