俺様専務に目をつけられました。
熱中症になってしまっていたため大事をとって週末まで仕事はお休みさせてもらった。いや、正確には専務によって強制的に休まされたの方が正解に近い。

そして週明け、久しぶりに出社すると会社の入り口で瑠奈が待ち構えていた。

「晴香!もうホント心配したんだからね!」

「おはよ。ごめんね、心配かけて。でも電話でも言った通り元気だから。」

「そう、じゃっ、よかった。・・・元気なら聞きたい事が山ほどあるの。」

ん?何を聞きたいんだ?

「俺も聞きたい事ある。おはよ。」

「飯田君、おはよ。でっ、何を二人は聞きたいの?」

「「もちろん専務のこと!」」

おーっ、二人とも気が合ってますなー。
じゃなくて、なんで専務?私はなぜ専務の事を私に聞きたがるのか謎のまま一日を過ごし、就業後半ば強引に会社から少し離れた居酒屋へ連行された。



「晴香、飲まないの?」

「うん、一応病み上がりだしやめとく。」

「そっ、じゃとりあえず、晴香が無事でよかった。かんぱーい!」

運ばれてきた飲み物でまずは乾杯・・・とここまでは良かった。
いつもなら私の横に座る瑠奈が、目の前に座る飯田君の隣に座り一対二で何だか面接をされる気分だ。

「でっ、専務と付き合ってんの?」

ブッっと思わずウーロン茶を吹き出しそうになた。

「な、なんで?」

「だってあの日、三栗が行方不明って知ったら専務顔色変えて必死だった。それにお前が救出された時の専務を見てたら誰だってただの上司と部下じゃないってわかる。お前んとこの部長と課長も思ったと思うぞ。」

えっ、あの場に部長と課長もいたの?あー、だから今日のあの態度だったのか。自分たちの確認不足で発見が遅れたから申し訳なくてかなって思ってたけど・・・、納得。

「でも飯田君がなんで総務にいたの?」

「お前の忘れ物に気がついて総務に行ったら戻ってないってなって、それで初めてお前が行方不明って分かったんだよ。」

「おーっ、じゃあ飯田君が来なかったら私危なかったんだ。ありがと。」

「おっ、おう。」

「おうじゃない!でっ、どうなのよ!」

瑠奈さん、ちょっと怖い。
結局、六月のお見合いもどきみたいな顔合わせの話から最近の話まで洗いざらい白状させられた。最初に感じた『面接みたい』は実際、面接ではなく『取り調べ』と言っていい感じだった。

「いやいや、それって完全にお付き合いしてるでしょ。晴香の中でお付き合いが確定じゃなくても、専務の中では確定だと思うよ。」

「そうなのかなー。」

その時、スマホに専務から着信が・・・。

「出たら?」

「うん・・・。」


【晴香?どこにいるんだ?】
【瑠奈たちと食事に来てます。】
【大丈夫なのか?体。迎えに行くか?】
【いえ、大丈夫です。遅くならないうちに帰りますから。】
【そっか。じゃあ家に着いたら連絡して。】
【はい。それじゃあ、また後で。】


「飯田、諦めな。」

ん?飯田君、何を諦めるの?意味が分からず私はポケッとした顔をしていた。

「ほらね。ハッキリ言わないとこの子には通じないの。遠回しに攻めてたアンタの負け。まだ確定じゃないとか言いながら、この子嫌そうじゃないでしょ。」

「確かに。」

「「はーっ」」

二人して私の顔見てため息を盛大についてますが、飯田君に瑠奈さん!
説明求む!
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